防音
MC型
 大学4回生の頃、友人の影響でジャズを聴くようになりました。ジャズ好きが嵩じて、スピーカーを「ALTEC・DIG」に、フォノ・カートリッジを「SHURE・TYPEV」に換えました。大学を出て神戸に帰ると、一年後、母が私のために自宅を増築してくれたのですが、今、思い返すと、将来、私が結婚した時、同居のためを考えてのことだったのでしょう。私は、学生時代、下宿生活の中、チェロを弾き始め、オーディオ装置を購入しましたが、どちらも音の出る趣味だったので、兎に角、下宿の同居人に迷惑を掛けないよう気を使って、思い切り音を出して、チェロを練習する、とか、レコードを鑑賞する、ということが出来なかったので、自分の部屋を作る段になって、大工さんに、音が漏れないように工事をお願いしました。「久雄は二言目には、ボーオン、ボーオン、と大工さんに言うので、何のことかと思ったら、防音にしてくれ、と頼んでいたようです」と母は呆れていました。その甲斐あって、分不相応にも、贅沢にも、イッパシのオーディオルームが出来ました。
 マイ・オーディオルームで、しかし「ALTEC・DIG」は、ジャズこそドンピシャでしたが、クラシック、とりわけ弦楽器は気持ちよく鳴ってくれません。丁度、アンプの調子も悪くなって、一挙に、スピーカーを「DAIATONE・DS40C」に、プリメインアンプを「LUX・SQ38FD mkU」に、レコード・プレーヤーを「LUX・PD131」に換えました。トーン・アームは、そのまま「SME3009」を使用したのですが、故障がちになり、「グレース・G−714」に換えました。このアームは、木製で、見るからに心和むデザインで、フォノ・カートリッジも「グレース・F10C」に換えました。「グレース・F10C」は、MC型という発電方式で、「グレース」のフォノ・カートリッジは「F8L」が一世を風靡したように、MM型という発電方式が主力だったのですが、「グレース」としては久々のMC型でした。当初、MC型は高級品で高嶺の花だったのですが、日本人の所得が向上し、MC型が購入できるようになったのです。オーディオ・ジャーナリズムでは、何故か、MC型のほうがMM型より高性能だ、という常識がはびこり、MC型が購入可能になると、オーディオマニアは、こぞってMC型を使用するようになったのです。私も、ご他聞に漏れず、MC党になっていました。この組み合わせも、最高だった。私のオーディオ、第二期黄金時代でした。