神戸市東灘区 

岡本梅林公園  

 私は1982年3月28日に結婚しました。当時、家内は中学校の音楽の先生でした。天職として選んだ教職の道を、結婚した後も歩むことを私も賛同していました。1年後の6月に子供が生まれることになって、家内は翌年の春まで産休を取ったのですが、年が明けた直後、店を経営して下さっていた叔父が病気で余命半年となったのです。私は、心の中で家内が店を手伝ってくれたらと考えました。私の心中を察して家内は、「先生を止めようか」と言ってくれたのです。私は「生まれてくる子供を人に預けるのは」と言いました。
 教師を退職した後、子供が生まれてくるまでの間、休みの日に二人で近隣の公園を散歩したのですが、新聞に岡本梅林が復活したという記事が目に留まり阪急電車に乗って出かけました。岡本駅から閑静な住宅の間を歩いて登りきったところに梅林はありました。しかし、これがかの有名な岡本梅林、と少々がっかりしました。
 散歩を再開して、新聞で岡本梅林が見頃だという写真入りの記事を見て、もう一度行ってみることにしました。ところが以前見た時とはまるで違って、豪華絢爛、多種多様な梅が咲き誇っていることに感動しました。家内と、「前に見に来た時と、まるで違うね。そうか、あれから40年以上が経って、植えられた梅がどんどん大きくなって立派になったのだ」と二人で納得したのです。



六甲高山植物園  

 散歩を始めた年の夏が猛暑で、六甲山だったら下界よりは6度は気温が低いだろう、と六甲高山植物園に行くことにしました。車で自宅から南へ下りて、国道二号線に出て、須磨水族園(現須磨マリンパーク)の前から東に走って、六甲山ドライブウェーを登っていったのですが、高度が上がるにつれて車の外の空気がドンドン冷えてきて、てっぺんの三叉路を右に曲がって、さらに東に進んで六甲高山植物園の駐車場に車を停めて外に出ると、ワァー涼しい、やっぱり六甲山の山頂の辺は街中とはまるで違う、と感動しました。
 六甲高山植物園に行ったのは、その時が初めてだったのですが、園内は決して広いというわけではないですが、珍しい高山植物が綺麗に植栽されていて、とても気持ちよく散策できました。いい意味で箱庭的で、森林植物園の雄大さとは正反対ですが、それぞれに街の風景とは隔絶した景観が堪能できるのです。
 園内を一巡(ひとめぐり)した後、エーデルワイスというレストランでランチを食べたのですが、壁に掛けられた温度計が見ると26度で、やっぱり6度低い!テラスに出て食事をしていると目の前に木々の緑が広がって、爽やかな風が吹いてきて、下界から車でたった30分で別天地だ、まさしくここは避暑地だ、と感動したのです。