人事 |
私は、日本の社会が停滞し、なぜ停滞を脱却できないのかを考え続けて、「社会の在り方」は「人間関係の在り方」に帰着すると気付きました。現在、日本の社会が置かれた状況は、実は、日本社会の人間関係に起因するのだ、と。今、日本の社会の至る所で、人事の停滞が起きています。人事の停滞が、即、社会の停滞になっているのです。 問題は、なぜ人事の停滞が起きるのか。私は、日本の「タテ社会」がその原因だと思うのです。「タテ社会」では組織の序列が歴然としています。トップの意思が組織の末端まで貫徹されるのです。下位者は上位者の意思に唯々諾々と従わねばならない。下位者が上位者にモノ申すことは余程のことでもなければできないのです。トップの意思が絶対である組織で、もしトップの意思に誤りがあったとしても、その誤りを正す術(すべ)がないのです。 「タテ社会」では一旦(いったん)序列が決まれば、余程の不祥事でもなければ序列は変わらないのです。なぜなら「タテ社会」では上位者になることは、実利の有る無しに係わらず受益者になれるのです。本来、組織の上位者になればなるほど責任が重くなります。ところが強固な「タテ社会」の日本の組織では内部から批判にさらされることはほとんど皆無なのです。上位者は、ひたすら序列の維持に腐心する、居心地が良いからです。人事が停滞するのは当然の帰結なのです。 |