格差
 世界基準で算出された相対的貧困率で、現在、日本が先進7か国中、最悪であることは、今、日本が如何に格差社会であるか如実に示しているのですが、かつて一億総中流社会と称せられた日本が、なぜ、いつの間に、格差社会に陥ってしまったのか。私は、ここ10年、政府が実施した経済政策が、格差の拡大を前提とする施策であったことが大きな理由であったと思うのです。経済成長を錦の御旗に、2013年に始まった政府の経済政策は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を掲げて始められましたが、 10年が経った今、大企業は、空前の利益を上げ、内部留保は倍増し、富裕層は、株高によって金融資産を過去最大に増やすことが出来て、経済政策の恩恵を最大限に受益したのです。
 一方、国民の大多数を占める「庶民の暮らし」の観点にたてば、ゼロ金利政策によって預貯金の金利が限りなくゼロになり、利息は雀の涙ほどもなく、老後の生活の足しにと思っていたのが大外れになりました。この10年の間、所得が増えない中で、かろうじて生活が維持できたのは物価が安定していたからであったのが、2パーセントのインフレ目標を掲げた結果、ここにきて急激に物価が上昇し、「庶民の暮らし」を直撃しているのです