2026年3月30日 |
元町150年 最終稿 |
| 神戸元町商店街の現在地 |
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| 今、私の手の中に一冊の本があります。1974年、私が家業である呉服屋になって元町商店街で商売に従事するようになった翌年に発行された「こうべ元町100年」という記念誌です。巻頭には「元町通り百年頌」と題された竹中郁氏の「詩」と小磯良平氏の「絵」。そして当時の兵庫県知事坂井時忠氏の「世界のモトマチ」、神戸市長宮崎辰雄氏の「神戸っ子のふるさと」という一文が載せられています。あの時から50年の歳月が流れ私自身その50年の間、奇しくも元町商店街で商売に携わってきました。「光陰矢の如し」あっという間の50年だったという気もしますが振り返ると多事多難でかろうじてここまで店をつぶさないで商売を続けることができたのはお客様、取引先、元町商店街の皆様のご支援の賜と心より感謝を申し上げます。 「こうべ元町100年」の記念誌の「店舗の変遷」というページには1974年当時の店舗が記載されているのですが、その時点で306店舗あったなかで現在も営業を継続されているのは54店舗です。この50年間で252店舗が入れ替わりました。営業を終了された理由は個々それぞれでしょうが商売の厳しさが如実に示されていると言えるのではないでしょうか。時代は変化する。しかし変化し続けながら、いつの時代にも「変わるもの」と「変わらないもの」があります。激変する時代の中にあって大切なのは、「変わるもの」は変えねばならい、「変わらないもの」は変えてはならい。商売人として大事なことは「変わるもの」を変えようと努力することと同時に「変わらないもの」を変えないように保持すること、その両方の視点と姿勢が必要不可欠だと思うのです。商品商法は変えねばならない。しかし商売の基本は変えてはならない。商売の基本中の基本、「信用」を失ってはならないのです。 元町商店街は有史以来、往来の地でした。人が行き交い、人と人とが出会い、集う所だった。人はなぜ集うのでしょう。一人では生きていけないから。他の誰かと出会い、心を通わせ、共に歩むことで長い人生を歩むことが出来るのです。「街」は「待ち」です。誰かと出会うために、誰かを待つところです。商店街は今も昔も、大切な出会いの場でした。商人はお客様に、お客様は商品に出会うために「待ち」つづける「街」なのです。だから人は商店街に集う。人との出会い、物との出会いを求めて。元町商店街が毎年、夏の「元町夜市」、秋の「元町ミュージックウィーク」を開催し続けてきたのは「集いの場」の創出だった。これまでも、これからも、元町商店街は「集いの場」であり続けます。 今から22年前、2004年、神戸元町商店街は生誕130年を迎えました。企画委員長に就任した私は生誕130年の記念事業をどのように実施するかを全組合員にお訊ねしたのですが、元町商店街の誇るべきものは歴史であり長い年月の中で培われた「元町らしさ」だとのご意見を多く頂きました。「元町らしさ」とは一体何なのか。私の元町130年事業は、その問いかけに始まりました。「元町らしさ」とは元町商店街に厳然として存在するものであり、他の如何なる所にもない「元町オンリーワン」ではないかと考えて私が最後にたどり着いた結論は元町商店街の全ての店舗の商売こそ「元町オンリーワン」だ、という自覚でした。「街づくりは店づくりから」と確信したのです。 2024年、神戸元町商店街は生誕150年を迎え前後3年間に亘って様々な記念事業が展開されました。ご尽力された皆様に深く感謝を申し上げます。20年前の私がそうであったように沢山のご苦労をなされたことと推察いたします。委員会で議論を重ね実施に当たって解決しなければならないことも多々あったことでしょう。しかし元町150年事業を完遂するために積み重ねられた経験こそ皆様にとって、さらに神戸元町商店街にとって、明日を切り拓く大きな力となるのです。その力を先代から受け継ぐこと、そして次代に受け渡すことで神戸元町商店街の歴史はさらに豊かになると信じています。 |
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2026年3月20日 |
元町150年 第三稿 |
| 元町らしさ |
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| 今から22年前、2004年、神戸元町商店街は生誕130年を迎えました。生誕130年を迎えるにあたって記念事業を実施することになり、準備委員会が発足し私は準備委員長に就任いたしました。私は先ず、2004年が神戸元町商店街の生誕130年の記念の周年であることを組合に周知することが必要だと考え、全組合員へのアンケートを実施いたしました。記念事業を実施するにあたって、どのような取り組みが望まれるのかをお訊ねしたのですが、元町商店街の誇るべきものは歴史であり、長い年月の中で培われた「元町らしさ」だ、とのご意見を多く頂きました。私自身、確かに「元町らしさ」を大切にしなければ、と考えていました。しかし「元町らしさ」とは何なのかを自問したら容易に答えられないことに気付いたのです。元町商店街の誰もが自明のことのように思っている「元町らしさ」とは一体何なのか。私の元町130年事業は、その問いかけに始まりました。 「元町らしさ」とは神戸元町商店街に厳然として存在するものであり、他の如何なる所にもない「元町オンリーワン」こそ「元町らしさ」ではないか、と考えて「元町オンリーワン物語」を「こうべ元町新聞」に書き始めたのですが、連載を36回続けて私が最後にたどり着いた結論は、神戸元町商店街の全ての店舗の商売こそ「元町オンリーワン」だ、という自覚でした。「街づくりは店づくりから」と確信したのです。 2024年、神戸元町商店街は生誕150年を迎え、前後3年間に亘って様々な記念事業が展開されました。ご尽力された皆様に深く感謝を申し上げます。20年前の私がそうであったように、沢山のご苦労をなさってこられたことと推察いたします。委員会で議論を重ね、時に激論になることもあったでしょう。実施に当たって解決しなければならないことも多々あったことでしょう。しかし元町150年事業を完遂するために積み重ねられた経験こそ皆様にとって、さらに神戸元町商店街にとって、明日を切り拓く大きな力となるのです。その力を先代から受け継ぐこと、そして次代に受け渡すことで神戸元町商店街の歴史はさらに豊かになると信じています。 |
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2026年3月10日 |
元町150年 第二稿 |
| 集いの場 |
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| 神戸元町商店街は有史以来、往来の地でした。人が行き交い、人と人とが出会い、集う所だった。人はなぜ集うのでしょう。一人では生きていけないから。他の誰かと出会い、心を通わせ、共に歩むことで長い人生を歩むことが出来るのです。 しかしスマートフォンなる文明の利器が誕生して以来、今や、人は、人と出会わなくても生きていけるようになりました。ショッピングも、コミュニケーションも、何でもかんでも「スマホで済ませる」時代になったのです。至極、簡単便利だから。なのにスマホでスマートな生活が謳歌できると思いきや、どこか満たされない。なぜか人恋しくなるのです。いつもスマホの小さな画面で買物したり会話しているような気になっているけれど、実感がないのです。 所詮、スマホはバーチュアルなのです。バーチュアルだから小さな画面の先にあるものが本物か偽物か見分けがつかないのです。時々刻々送られてくるフィッシングメールが、バーチュアルな情報が如何に危険かを如実に示しています。だから人は、いつも不安の中にある。私たちにとって確かなものは、自分の目で見、耳で聞き、肌で触れ、鼻でかぎ分け、舌で味わうものだけなのです。自身の五感が感じ取ったものを大事にして、生き方を選択する。 「街」は「待ち」です。誰かと出会うために、誰かを待つところです。商店街は今も昔も、大切な出会いの場でした。商人はお客様に、お客様は商品に出会うために「待ち」つづける「街」なのです。だから人は商店街に集う。人との出会い、物との出会いを求めて。 今、商店街は「集いの場」の提供という社会的使命が課せられています。それは何でもかんでも「スマホで済ませる」社会になるなかで、バーチュアルではない、リアルなコミュニケーションこそが、人間らしい生き方を回復する手立てになるからです。しかし商店街が「集いの場」であるためには「集える場」でなければなりません。神戸元町商店街は陸海空すべての交通機関が集結しているという全国屈指の好立地にあるのです。神戸元町商店街が毎年、夏の「元町夜市」、秋の「元町ミュージックウィーク」を開催し続けてきたのは「集いの場」の創出だった。これまでも、これからも、神戸元町商店街は「集いの場」であり続けます。 |
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