第三十七話
 私は、大型ショッピングモールに滅多に行きませんが、偶々入ると、全然、楽しくない、面白くないのです。

金太郎飴
 大型ショッピングモールは、実に計算し尽くされていて、来店されたお客様に満足して頂けるように出来ています。ところが私は、行く気がしない、買い物をする気がしないのです。どこに行っても、同じ売り場構成で、出店業者も同じ。まるで金太郎飴なのです。確かに、99パーセントの消費者には、100パーセント、満足して頂けるでしょう。しかし、私のような、臍曲がり、天邪鬼は、満足できないのです。「モノ」を売るところなのに、私の欲しい「モノ」は売っていないのです。
 私は、いまだに音楽を聴くのはレコードです、写真を撮るのはフィルムカメラです。大型ショッピングモールで、CDは売っているかもしれない、デジタルカメラは売っているかもしれない。しかし、レコードやフィルムカメラは売っていないでしょう。ところがどっこい、「街の○○屋」さんでは、今もレコードを売っている、フィルムカメラを売っている。勿論、新品ではなく中古ですが。
 コーヒーショップやレストランも、大型ショッピングモールは、ほぼ全国チェーン店で、どこで飲んでも、どこで食べても変わらない。ところが、「街の○○屋」さんのコーヒーは、ハンバーグは、ラーメンは、どの店も違う味がする。店主の顔が見える、「ココロ」が感じられるのです。