第二十四話
 「断捨離」ブームだそうです。いつの頃からか「断捨離」というコトバが流行語になり、いつの間にか「断捨離」を実行する日本人が激増しました。

断捨離
 ある時、気が付いたら「断捨離」というコトバが雑誌の紙面に踊っている。一体全体、「断捨離」とは何ぞや。「断(たつ)」「捨(すてる)」「離(はなれる)」ということだそうですが、要するに「モノ離れ」。所有することをやめる。ある日、突然「断捨離」というコトバに気が付いた、ということは、新語だということです。新語というコトバは、私の造語だから、間違いなく新語ですが。そもそも、あるコトバが、いつの間にか死語になる一方、いつの頃からか新語が生まれる、ということは、コトバは生まれたり死んだりする。なぜコトバは、かくも変遷するのでしょう。まさに時代が変化するからです。
 「三種の神器」や「3C」というコトバが死んで、「断捨離」というコトバが生まれたのは、時代が変化したからです。おおかたの日本人にとって所有することの価値が劇的に低下した。「モノ」を持つことだけに満足できなくなって、「モノ」にこだわったり、とらわれたりしない生き方を探し始めたのです。「モノ」を持つことが、はたして豊かさなのか。豊かさは、「モノ」そのものと別のものではないか。真の豊かさとは何か、を求め始めた日本人は、「モノ」そのものに価値があるのではなく、「モノ」は使うことによって価値が生まれるのだ、ということに気付いたのです。「所有価値」から「使用価値」へ、その第一歩が「断捨離」だったのです。