第二十一話
 神戸で生まれ育って、今も神戸で暮らしている私にとって、阪神淡路大震災は未曽有の大惨事でした。その日を境に、私の中では、すべてが震災前・震災後という意識があります。

震災前・震災後
 平成17年1月17日午前5時57分、阪神淡路大震災が勃発しました。神戸生まれ、神戸育ちの私は、神戸は地震が起きないと漠然と信じていました。生まれてこの方、地震というものを全く経験したことがなかったからです。前日の夜、7時過ぎだったか、震度1の揺れを感じて、神戸でも地震があるのだと思ったぐらいでした。
 突然、大地の底が突き上がる衝撃、一瞬、これは夢かと思った途端、凄まじい揺れが襲ってきました。これは夢じゃない。我と我が身に起きたのだ、起きてしまったのだ。一体、これからどうなるのだ、我が家は、神戸の街は。
 震災後、すべてが変わった。もし震災が起きていなかったら、と何度、思ったことでしょう。自宅は全壊、店舗は半壊という判定でしたが、自宅も店舗も、なんとか住み続けることも商売し続けることも出来ました。しかし補修に多額の費用が発生し、不測の借り入れを抱えることになりました。
 借金の返済が最優先で、以前ならなんとかなる金額でしたが、返済の原資になる売り上げが激減したのです。なべて被災地は、かつてない被害で復興もままならなかったのです。