第十一話
 なんでこんなに「売れない」のか、考えても考えても分からない。もしかしたら世の中、変った?

「買わない」と「買えない」
 「売り物」が「売れない」のは、「買い手」が「買わない」からですが、「買う」か「買わない」かは、所詮、「買い手」の勝手です。ところが、それでは説明できない程、「売れない」状況は深刻です。どうも、「買い手」の勝手だけでは済まないような気がする。「買い手」の勝手、自由意思を越えた力が働いているようなのです。現状としては、「売れない」のは「買わない」からではなく、「買えない」からではないか。
 「ええね。そやけど買えない。お金が無いから」という話が多い。私自身が全くそうです。買いたいけれど「買えない」。お金が無いから。私にお金が無いのは、「売れない」からです。商売人にとって、「売れる」か「売れない」かは、即、お金が入ってくるか入らないかに直結する。今みたいに「売れない」と、お金が入ってこない、お金が無い。金欠病が、不治の病のように、世間に蔓延している。金欠病の病原菌の感染力は凄まじく強いから、世の中、「天下の回り物」であるはずのお金が回らない、という悪循環に陥っているのです。ついこの間まで、そんなことはなかった。「売れない」「売れない」と年中、ボヤキながらも、多少でも商売が出来た。ところが、今や、全く「売れない」。一体全体、どうなっているのだ。
 「売れない」理由はハッキリしている。「買い手」が買いたくても、お金が無いから「買えない」からです。現下のかつてない深刻な状況は、実に「経済」の問題なのです。