第五十二話
 「商鑑(あきないかがみ)」も最終回。現時点での結論です。

価値共創
 社会を、人々の暮らしを豊かにするために、「生産価値」「使用価値」それぞれの「価値」をより高めることが不可欠であるなら、それぞれの価値をより高めるために、直接的には、生産者は「生産価値」を、消費者は「使用価値」を高めるために、鋭意努力することが必要です。さらに間接的には、流通者もまた、「生産価値」「使用価値」を高めることに意を尽くさねばなりません。
 流通者が、「生産価値」「使用価値」を高めるために為さねばならないのは、「生産価値」を「交換価値」に変える、すなわち生産品を買い上げることによって資金に交換し、現金化することによって生産者に資金を還流し、生産者の再生産を可能にし、生産品のさらなる改良を可能にし、「生産価値」をより高める支援をすることです。
 また流通者は、「生産価値」を買い上げることによって「交換価値」に変え、生産品を商品として販売することによって、消費者に「交換価値」を「所有価値」として提供し、消費者によって「所有価値」が「使用価値」として「価値実現」するお手伝いをすることが必要です。なぜなら「所有価値」が「使用価値」としてより高度に「価値実現」することが、流通者の「交換価値」を高めることになるからです。
 結論を言うなら、より豊かな社会を、人々の暮らしを実現するために、生産者、流通者、消費者が、それぞれの立場で、持ち場で、より高度な「価値実現」を達成するために、「価値」を「共同」して「創造」する「価値共創」に努力することが必要であり、重要なのです。「価値共創社会」を理念として実現することによって、人類は進歩の階梯を昇り続けることが出来るのです。