古 渡

 「丸太や」が創業以来初めて呉服以外の商品の販売を始めた1982年の3月28日、私は家内と結婚しました。奇しくもその年は「丸太や」再生元年でもありました。2月に販売を開始した「古渡」の小物雑貨が想像以上の反響を得て殆ど開店休業に近かった店内がにわかに活気付いたのです。母は持ち前の明るさを取り戻し親切にお客差のお相手をして差し上げましたし店に出るようになった家内の良き先輩でもありました。「古渡」の商品は家内が日常使用し着用するものばかりでしたので家内も着てみて使ってみてお客様にお勧めしましたので納得してお買い求めいただきました。最初に「古渡」に行って以来、毎年6月と12月に開かれる「古渡」の新作展には欠かさず家内と一緒に仕入れに行きました。子供が生まれてからは子連れて東京に出かけ会場で子供がハイハイをしていたこともありました。少し大きくなった頃、仕入れの前後に上野動物園や東京ディズニーランドに子供たちを連れて行ったことがなつかしく思い出されます。
 「古渡(こわたり)」という社名は「海を渡ってきた古い唐桟縞、更紗」という意味の「古渡唐桟縞」「古渡更紗」から由来しているとおり「古渡」は従来、唐桟縞や浴衣などの木綿の反物、更紗染の帯や着尺が主力商品でしたが次第にそういう素材を活かした甚平や作務衣、綿入半纏、さらにワンピース、ブラウス、シャツなどの婦人服、バッグ、財布、巾着などの袋物、のれん、タペストリー、テーブルセンターなどのインテリア、と日常雑貨に商材がひろがりました。最近では縮緬素材のワンピース、ブラウス、パンツ、スカートが高級感があって愛用していただいています。とりわけ夏の子供甚平、冬の子供綿入半纏は店頭に並べると「ワー、カワイイ!」と大人気です。