第二話 |
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その昔、地下鉄漫才なるものが一世を風靡しました。「地下鉄の電車はどこから入れたの?それを考えたら一晩中寝られない」という春日三球・照代の夫婦漫才。「卵が先か鶏が先か」も考えだしたら眠れない? |
鶏卵論争 |
鶏卵論争などと大袈裟に書きましたが、「卵が先か鶏が先か」の話です。本当のところ、どっちが先か、誰が考えても分からない。「卵が先か鶏が先か」はいくら考えても分からないけれど、「商店が先か商店街が先か」は誰でもすぐ分かる。勿論、「商店」です。 「商売」の歴史は驚くほど古い。人類の歴史と共にある、と思えるほどですが、「商店」の歴史は、やはりそれなりに流通経済が進展してから後のことでしょう。「商店」とは常設の店舗を指す言葉ですから、貨幣経済が発展して恒常的に商売が成り立たないと「商店」は生まれません。 ある時、ある所で、「商店」が開店した、とします。その「商店」が商売上手で、買い物客が引っ切り無しに来る。すると、それを見ていた商売人が、あれだけ買い物客が来るのなら、その向いに店を出そう、と考えて出店した。その「商店」も人気で、買い物客が大勢来る。すると、それを見た別の商売人が、その隣に店を出した。気が付いたら、次から次へと店が出来て、その一帯は「商店」だらけになった。 その昔、生田神社の西、兵庫の津の東の、西国街道沿いに「商店」が立ち並んでいました。明治7年5月20日、当時の兵庫県知事(県令)の神田孝平が、その地を「元町通」と名付けましたが、諸外国に門戸が開かれた開港地として、「元町通」に軒を並べた「商店」は繁盛し、「商店」の立ち並んだ「元町通」は、いつしか「元町商店街」と呼ばれるようになりました。お分かりでしょう。「商店」が先で「商店街」は後なのです。 |