第四十六話
 私に商売を教えてくれたのは母です。母は口癖のように「人を騙すような商売をしたらアカン」と言ってました。

文は人なり、商いもまた人なり
今月の商鑑イラスト 小売業はお客様にモノをお売りしますが、メーカーや問屋からモノを買っています。売り手であると同時に買い手でもあるのです。お客様にお売りするのは販売、メーカーや問屋から買うのは仕入れです。「利は元にあり」という金言がありますが商売人にとって仕入れが如何に大事であるのかを見事に言い表しています。
 何を仕入れるのかが商売を左右するなら、誰から仕入れるのかが商売を決すると言って過言ではありません。なぜならお客様にお売りするモノが価値あるモノかどうか、それはメーカーや問屋から買うモノが、価値があるかないかにかかっていて、仕入れ先の人間を信用できるかどうかにかかっているからです。
 お客様もまた価値のあるモノを買うのに、売り手の人間が信用できるかどうかを判断される。モノを買う前に人を買うのです。お客様に信用して頂かなければ商売は出来ないのです。だから商売をするためには、お客様から信頼していただける商売人でなければならない。お客様から信頼していただける商売人になるためには決して嘘を吐いてはならない。
 誠実でなければならいのです。